木ノ芽峠
2009年5月2日



 地図を見ていて面白そうだったから行ってみたかった、と云うより他は無い。それが敦賀と武生を結ぶ北国街道(現R365)よりも更に古い古道であるとか、峠に先祖代々の茶屋があるとかは、全て後知恵である。
 

 今回は余呉町の廃村巡りの続き、栃ノ木峠からスタートである。
 KDXの前を通っているのがR365。右が今庄、左が余呉方面でありやって来た方向である。KDXの後方には淀川の源という碑が建っている。琵琶湖へ注ぎ、そして琵琶湖から流れ出て淀川となり大阪湾へ至る、琵琶湖も含む全ての水を淀川水系と云うらしいのであるが、その幾多の源流のうち最北端(*)がここ高時川の源流らしいのである。

(*:河口から最も遠い位置にある)




 余呉高原リゾートの看板を今庄側へ数十メートルだけ下ると、栃ノ木峠の看板が現れる。











 木ノ芽峠攻略の前哨戦として、栃ノ木林道を走ってみることにする。これまた地図で見つけて面白そうだったからだ。
 右の地図は(何故か)右が北である。現在地点は左上の「起点」の位置である。林道を示す赤いラインに沿って右下の「終点」まで走ることにする。途中、スキー場を横切るがその左上が最終目的の木ノ芽峠である。一旦は横目で通り過ぎる事になる。


 栃ノ木林道は地図によって描いてあったり無かったりするのでダートを期待したのであるが、結論を先に云ってしまえば左写真の通り、細いながらも全線舗装済である。ただ、スキー場がある事から分かる通り、部分的に勾配がややきつい所がある。KDXだから行ったが、ハヤブサなら微妙なところである。








 栃ノ木林道は前の地図看板にもある通り、本日の攻略目標木ノ芽峠の真下を通る。木ノ芽峠には茶店と共に関所も置かれていたようで、看板は往時の木ノ芽城塞群図である。そして、看板下の立て札には「城跡は私有地であり当家代々生活の場なり」とある。








 見上げると、その私有地に萱葺きの家。どうやらあれが到達目標の茶屋らしい。はたしてあそこまでKDXで行くことができるか?








 ちなみに、信じられない角度で軽トラが駐車されていた。日常的にあの急坂、いや、激坂を上り下りしているのであろうか。





 木ノ芽峠を横目で睨みつつ、とりあえずは栃ノ木林道の攻略を優先する。
 最後まで狭い、舗装された林道(時々落石あり)が続き、結局県道207号へ出てくる。この県道207号は元々の北陸本線であり、所々その遺構が残っている。写真は林道を出てすぐのところにある「山中信号場 待避線跡地」だそうだ。看板が無ければ、ただ道が広くなった場所としかわからない(苦笑)。
 ただ、北陸本線跡の遺構をたどってみるのも面白かろうとは思うので、後日改めてツーリングを計画してみようと思う。



 北陸本線ついでに、左写真は県道沿いにあった南今庄駅(写真の左の方、青い車の上辺り)とそこを通過する特急列車である。
 南今庄駅は、「秘境駅」(流行っているらしい)の第何位かにランキングされている駅である。たしかに付近に民家は無い(それでも見渡せば見えていたような気がする)が、ご覧の通りすぐ横には県道が走り、とりたてて到達困難な場所でもない。画面左側の白い車、バイク、そして駅前に駐車している青い車は全て鉄の人のものである。写真が小さいのでわからないだろうが、駅構内にも線路沿いにも撮り鉄が溢れている。何が「秘境」なんだか…。(「秘境」と云うからには列車以外での到達が困難であって欲しいのだ)



 県道207号を南今庄駅から西へ向かうと北陸道(自動車専用道路ね)をくぐる手前に左写真の分岐がある。
 県道を左(南西)へと入って行くのが北陸道(徒歩時代のね)だ。木ノ芽峠への方向を示す看板が出ている。









 しばらくは右写真のように舗装された道が続き、そのまま杉林の中へ入っていく。古道らしく、途中に陣屋の跡やその他、いわくありげな史跡を示す案内板が出ていたが今回は省略。




 杉林を抜けて程無く、コンクリートブロックが置いてあった。その時は確かに「変なものが置いてあるなぁ、何だろう、これ?」と思ったのであるが…











 どうやらスキー場へ迷い込んでしまったようだ。右写真の右端にはリフトが見えている。 さっきのコンクリートブロックはスキー場の境界に置かれていたものらしい。
 が、画面中央右にある大看板の左下を見ると、「↑木ノ芽峠」と書いてあるではないか!









 しかもその先、大看板の後の木の下には確かに「旧北陸道↑ 木ノ芽峠」とある!





 本来の主旨からするとゲレンデ右隅にある旧北陸道を正確にたどるべきであるが、所々左写真のような階段になっているのでそれは勘弁してもらって(笑)











 ゲレンデ内にある舗装道を登ることにする。が、さすがゲレンデ。激坂である。登ることすらおっかなびっくり、絶対に下りたくはない(もしダートならブレーキをかけていても滑って落ちていくのではないかと思う)。



 ゲレンデを登り切るとそこはさっき通った栃ノ木林道である。林道とゲレンデはポールとロープで仕切られていた(官民の境界だろう)が、一部開けてある所があったのでそこを通過。
 そして林道わきから分岐している細い登山道(のように見える)が旧北陸道、そして笠取峠である。木ノ芽峠まであと900m。






 前方の様子は右写真の通り。画面左端に「木ノ芽峠↑」の看板がある(切れているが)。ここを見た限りでは行けそうだったのだが…







 その先はこれ。階段で石畳で濡れていて、しかも激坂。エンストしたらエンジンの再始動はできない(ブレーキをかけても滑り落ちるのでキックができない)。しかも倒したら、いくら軽量のKDXとはいえ起こせないぞ、この坂じゃぁ…。

 止むを得ず、撤収…。
 ちなみにこの坂10m余りを登り切ると、その後はフラットなのであるが…。


 さてどうしたものかと一瞬考えたが、反対側からアプローチしてみることにした。
 この位置からゲレンデを一直線に降り(登って来た道ではない)、一旦R365へ出てから木ノ芽トンネルを西へ抜ける。


 木ノ芽トンネルの西側すぐの北側が、木ノ芽峠への入り口である。ちなみにここもまた結構な坂である。舗装されていたのは最初だけ。










 基本、登山道である。ダートになってからも何とか頑張ったが、ここが限界。ここからは勾配が急増していると共に、道幅が狭くなっている。この先で進入不可能な状況になったら、転回は適わず、バックのまま押さなくては(落とさなくては?)ならない。それは避けたい(リスク大)ので、転回できるだけの広さがあるこの地点で撤収とした。恐らく峠まであと数百メートル。無念、木ノ芽峠攻略ならず。
(最悪はバイク捨てる覚悟なら行けたかもしれないけど、生憎それほど贅沢でもないので ← 言い訳)


文字通り、木ノ芽峠との激闘を振り返って見る。よく頑張ったと思いませんか?

 

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