三重海軍航空隊訪問記

2008年4月5日

 三重県香良洲町にある若櫻福祉会館を訪問した。ここは三重海軍航空隊の跡地(の一部)であり、小規模ながら関連する展示がある。主たる目標は冒頭の写真の如く「正門、隼、櫻」の三点セット写真を撮影することであったのだが、その出来栄えは御覧の通りである…
(航空機(の残骸)展示に焦点をあてた記事を読みたい方はこちらを参照)

 三重県にはかつて帝國海軍の鈴鹿航空隊と三重航空隊が存在した。

 鈴鹿航空隊は局地戦闘機雷電の開発記録を読むと出てくるので昔から知っていたが(今も遺構の一部が残ってるらしい)、三重航空隊の方を知ったのは最近である。
 飛行機マニアの私が最近まで知らなかったとは珍しいこともあるものだが、それもそのはず、実はここは実線機の配備されていない予科練の基地であったのだ。

 その跡地の一角に建つ若櫻福祉会館(敢えて「桜」ではなく「櫻」を使うことを許されよ)では、予科練に関する遺品等と、若干の飛行機の残骸が展示されているのである。
 
 飛行機、それも旧軍機の残骸とくれば訪問しなくてはならない。飛行機マニアにとってそれは義務である。しかもただ行くだけではつまらない。建物の名前は若櫻、また、同期の櫻という唄もあるではないか、ならば櫻の季節に行かねばならぬと思い機会を伺っていたのである。

 幸い、今年は櫻、晴、休日の3つが揃った。こうなれば行くしかないのである。
 実はこの3つが揃うと、ギフチョウの採集(昆虫採集も趣味の一つ)にも好都合なのだが、そっちについては目をつぶることにした。
 
 家から片道4時間近くをかけてたどり着いた私を歓迎してくれたのは、櫻とともに翩翻と翻る軍艦旗である。

 正門、櫻と愛機の写真は冒頭の通り。ピントが甘いのが残念であるが、実はこの頃より徐々に愛用のデジカメ、Kodac DC3800の調子が悪くなりつつあったのである。







 


 

 
 

 会館外部に展示してあったのがこれである。
 練習機白菊のものと思しき主翼の残骸と、正体不明の空冷星型複列14気筒エンジン(3翔ペラ付き)。
 白菊のエンジンは確か単列なので、それ以外の機体のものである。空冷複列14気筒エンジンとくれば栄、瑞星、金星だが、残念ながらそこまでの知識は無い。



 



 会館内部に展示してあった白菊の模型である。写真では大きさがよくわからないだろうが、全長が3メートル程度ある大型のものである。プロペラが2枚であり、この事からも上のエンジン(プロペラ3枚)が白菊のもので無いことがわかる。しかしこの模型の塗装は実戦機のものである。白菊は練習機なのであるから、俗に赤トンボと云われる橙色の塗装ではなかったのだろうか?

 
 さて、これ以上の会館内部は撮影禁止である。従って写真は無い。ただ、館内撮影禁止とされたのは最近の事であるらしく、Web上で探すと出てくる。興味のある方はそちらを参照ということにして、ここでは、予科練生徒の服装、装備品、中曽根康弘元首相の弟君(海軍のパイロットであった)が搭乗し、撃墜された零式輸送機の残骸、等があったと云うに止める。

 これらから何を感じ取るか? という事については、実際に訪問してもらうに如くは無いけれど、例えば知覧の博物館の如き悲しさを感じなかったのも事実である。これは、ここが練習基地であったことが大いに関係しているものと思われる。それでも、我々はただ一人あるのではなく、誰かに生かされているということは強く思うのである。


 

本当に櫻の美しい一日であった。



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