NISSIN RADIAL CLUTCH MASTER

2014年10月18日


 ついにクラッチマスタもラジアル化!


 ブレーキマスターをラジアル化して早7年!ようやくクラッチマスターのラジアル化が完了した。モノはブレーキ側と同じ、デイトナ−NISSIN製である。
 ずいぶんと間があいたのは予算の都合もあるが、ブレーキ側と同じ本体黒/レバー銀の色が発売されなかったためである。理由は大人の事情、NISSIN製のクラッチマスターの本体黒はZZR1400に独占的に供給される契約?になっていたためらしい。

 発売されていた本体色は金と茶なのだが、それではブレーキ側と色違いになるし、いっそのこと本体茶色を買って黒く塗ろうかとも思っていたのだが、何となく延び延びになっているうちにパテントが切れたのか、黒が発売されていた。
 となればもはや逡巡する言い訳もなく、ウェビックのバーゲン(実はあまり安くはなっていない)を狙って購入したのである。

 マスターをラジアル化すると、ノーマルのホースでは取り付かない(長さが足りない。実験済み)。なので、ホースも交換する必要があるのだが、それについてはブレーキ側と同じくスウェッジラインを選択。ただしノーマルからホース長、フィッティングともに異なるので、キットではなくイージーオーダー品とした。
 ホースの必要長さについては、ネットで調べたのだが、ブレンボならともかくNISSINの情報は少ない。それでもノーマルより50mmロングにすると長すぎたという記事があったので、25mmロングとした。25mmに根拠があった訳ではなく、スウェッジラインのイージーオーダーでは、長さの調整が25mm刻みだったので、必然的にそうなったのだ。ちなみに、あくまでスウェッジラインの情報だが、ノーマルのホース長は1200mmである(ホースの長さの測り方はメーカによって異なるので注意)。

 フィッティング/バンジョーは、ブレーキ側と同じアルミ(青/赤のアルマイト処理がきれい)ではなく、ステンとした。あと10年はハヤブサに乗るつもりだし、アルミは10年くらいで割れる(人もいるらしい)可能性もあるそうなので、少々高いが耐久性のあるステンとしたのである。ついでに、予算を見てそのうちブレーキ側もアルミ(くどいようだか交換して7年(笑))に交換するつもりである。なお、バンジョーボルトとフィッティングは、下の如くである。
  ・ノーマル (マスタ側)フィッティング ストレート、ボルトM10P1.25 (車体側)フィッティング20°、ボルトM10P1.00
  ・NISSIN  (マスタ側)フィッティング  20°     、ボルトM10P1.25 (車体側)フィッティング20°、ボルトM10P1.00

 


 と、文章でくどくどと述べても分かりにくいので、こここらで整理。左写真が集めた部品一式である。上左  ラバーブッシュ(2個入り)、上中及び右 バンジョーボルト、下左 ラジアルクラッチマスター、下右 スウェッジライン。

 バンジョーボルトには銅クラッシュワッシャー2個が付属しているが、色的に目立ちたくないので、別に買っておいたアルミ(銀色)クラッシュワッシャー(内径10mm)を使用。






 部品一覧はこれ。この他にブレーキフルード(DOT4)も必要である。価格はウェビックのバーゲン価格。イージーオーダーのクラッチホースにはバンジョーボルトが付属しないので、別に購入する必要がある。〆て¥25114。

 名称

メーカ 

 部品番号

個数 

 価格

備考 

 デイトナNISSINNクラッチマスタ  デイトナ

78400

1

¥15033

 本体黒。レバー銀
 クラッチホース  スウェッジライン

STKB-1212

1

¥7560

 イージーオーダー品
 1225mm(ノーマルは1200mm)
 フィッティングはステン
 フィッティングは両端ともに20°
 バンジョーボルト(マスタ側)  プロト

ETP310

1

¥1004

 M10P1.25、ステン
 バンジョーボルト(車体側)  プロト

ETP316

1

¥1004

 M10P1.00、ステン
 ラバーブッシュ  プロト

EAP290-2

1式

¥513

 2個入り

 


 いきなりだが取り外したクラッチホース。取り外しの難易度は高くないが、ブレーキフルードは塗装を剥離させるので気をつかう。

 最初にクラッチマスタのリザーバタンクから、あらかたフルードを抜き取って、次に下側(車体側)のバンジョーを外し、残ったフルードを抜いて(ほとんど出てこないが)、端末にビニール袋を巻いてからマスタ側のバンジョーを外して、これまた端末にビニール袋を巻く。ハンドル周りは、フルード対策のために濡らしたウエスで養生しておく。
 ノーマルのクラッチマスタを外したら、ホースは上へ抜ける。
 写真の通り、ノーマルのクラッチホースは両端がゴム、真ん中はパイプであり、圧力で膨らんだりしない。リプレイスでホースをメッシュ化する意味は全くないと思う。




 アップしすぎて分かりにくいが、ラジアルマスタを取り付けたところ。デイトナのHPでは、「カウルと干渉するのでハヤブサには取り付け不可」とあるが、実はその通り。クランプの合わせ目は、写真中央に見えるポンチマークに合わせるのが基本であるが、そうするとハンドルを右に切った時にカウルとレバー基部前方が干渉してクラッチが切れてしまう。
 対策としては取付位置をずらすより他はなく、クランプの合わせ目を5mmくらい前方へ回した位置が解。これ以上でも、これ以下でもカウルと干渉してしまう。もう少し前方へ回してレバーを下げた方が好きなのだが、まぁしょうがない。
 決めた位置にはご覧の通りマジックでマーキングしておいた。
 ちなみに、左右についても自由度はほぼ無い。写真より内側へは、マスタ本体とハンドルのクランプ(写真右のグレイの部品)が干渉して入らないし、外側は写真の状態でチョークレバーとのクリアランスが1mmくらいしかない。(これらはあくまでも2000年型の結果。カウル形状の異なる2008年型以降は分からない)。




 
 ホースをクラッチマスタに取り付けたところ。写真左が内側で、前上方から後ろを見ている。

 写真中央がホースのフィッティングで、その上をクラッチの信号ケーブルがまたぎ、下にはチョークワイヤが通っている。
 とても作業がしにくく、スイッチボックスを緩めてみたり、色々と創意工夫。












 これは同じ場所を下から見たところ。
 バンジョーボルトの直下をチョークワイヤが通っているのが分かると思う。締めようにも工具が入らず、あっちにずらしたりこっちに回したりしてようやく固定した。バンジョーボルトのマニュアルではトルクの指定があったが、とてもじゃないがトルクレンチが入らない。仕方がないので適当(適切)に締めた。












 ホースは左フロントフォークの前を回って、まずフレームのステアリングのところに固定。
 ノーマルホースを固定するクランプがあるので、それを利用した。クランプ位置には、ホースが傷つかないようにラバーブッシュを取り付け、さらに抜けないようにタイラップを巻いた。














 固定の2ヶ所目。
 ここもノーマルホースの取り付け位置。コの字型のクランプに挟んで他のケーブル類とともにタイラプ留め。これもノーマルと同じ。クランプでホースが傷つかないよう、ここでは黒のビニールテープを巻いておいた。

 このあと、ホースはフレームの内側を取って下へ降りていく。










 しまった、写真が足りない(苦笑)
 これはノーマルの取り回し写真(クーラントのリザーバタンクは外してある)であるが、仕方がないのでこれで解説。
 写真上中央に、フレームからクランプが出ているが、フレーム内側を通って下へ降りてきたホースはここへ留める。クランプと干渉する部分にはラバーブッシュを使用。そのまま写真右下のクラッチレリーズ後方へ取り回して取り付け。

 付記しておくと、このようにホースの取り回しと固定場所はノーマルと全く同じである。








 ホース長はノーマルの1200mm(スウェッジラインのノーマルキットの長さ)に対して+25mmの1225mmとしたのだが、長かった。余った部分はご覧のようにエンジン後方の空間へU字型に曲げて納めた。熱で溶けなければいいけど・・・。
 スウェッジラインを使う場合、ノーマル長でもいいのかもしれない。

 写真中央下に半分見えているのがクラッチレリーズ、その右の銀色がホースのフィッティングである。








 完成。これでようやくブレーキ、クラッチともにラジアルマスターになりました。

 と、この時点でブレーキ側のリザーバタンクステーが黒、クラッチ側のステーがシルバーであることに気づいた。調べると、初期のステーは黒(ブレーキ、クラッチとも)だが、最近のものはシルバーになったらしい。あぁ、7年の歳月…。
 もっとも、アフターパーツで黒/シルバーともに売っているので、気になるようなら後で交換も可能である。シルバーの方はムクっぽいので、たぶんそのうちに錆びてくるだろうと予想はしているが。

 で、肝心のフィーリングだが、ピストン径とレバー比が変わらないので変わらないかと思った(あくまでも古くなった部品の交換のつもりだった)のだが、やや軽くなった気がする。これは動きがスムーズになったせいかもしれない。




 左がノーマル、右がラジアルマスター。






オマケ(だけど重要)作業。見つけてしまったオイル漏れ。

 エンジン前方左、クランクケースとシリンダヘッドをつなぐオイルラインのホース。下側のカシメ部からうっすらとオイルにじみがあった(写真クリックで拡大)ので大事に至る前に交換。これまた工具が入りにくく(特に下側)、しかもホースを取り外しているので漏れ出てくるオイルで手が滑って、作業しにくいことこの上なかった。これまたトルク指定はあるものの、実施不可能。ホント、プロってこういうところどうしているのだろう?やっぱり、それなりに工具がそろっているのか??

 ちなみに部品はP/N 11282-24F00 ホース シリンダヘッド オイル ¥3128、とガスケット 09168-10007 ¥102 を4枚、でした。


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