ユーザー車検2009

2009年11月20日


 物は試しでチャレンジしてみたユーザー車検の結果と、それに合わせて行った雑多な整備の結果を記録しておく。

 私のハヤブサは2000年型、かれこれ10年車である。普通に考えれば単車屋で常以上にじっくり整備してもらってから車検、という時期なのだろうが、そうは懐が許さない(笑)。金が無いなら汗をかけ、という訳で今回はユーザー車検とし、12月の車検切れに向けて9月頃からボチボチと気になる部分の整備を始めた。折悪しく、年度始めには計画していなかった東京長期出張が入ったりして、一時期はユーザー車検どころか整備の時間すら取れるのか?という状況だったがそれも何とか切り抜けて車検までこぎつけた。
 で、だ(笑)。本編では2年後のユーザー車検に備えて、諸々を備忘録的に書いておくことにする。

T 整備編
(1)ライトスイッチ
 私のハヤブサは英国仕様、ライトのON/OFFスイッチが標準で装備されている(中古車購入なのでこれが正規状態なのかどうか分からなかったのだが、調べた結果標準装備で正解のようだ)。ライトについては常時ONの機構でなければ車検を通らないという説もあり(もしそれが本当ならON/OFF機能のある仕様が輸入できるとは思えないのだが…)、考えた挙句写真のようにスイッチの裏側へ「コ」の字型のスペーサをかませることにした。
 ハヤブサの場合、ライトスイッチはスライド式ではなく円運動なので、裏側にスペーサを入れておくとOFFの方向へ動かそうとしても噛み込んで動かないのである。
 ちなみにスペーサは厚紙、スイッチアッシィへは両面テープで貼り付けてある。

(2)スクリーン交換

 車検には全く関係ないのだが、先日の中国地方ツーリングで傷つけてしまった(左写真の矢印の部分)スクリーンを交換した。











 だが、傷は非常に目立つ。純正新品は¥10000以上と高価なので、手が出ない。で、困った時のヤフオクである(笑)。結局、新同品を何と¥500で購入(物が大きいので送料は高かったけどね)。右写真の左が傷入りのスクリーン、右がヤフオク購入のスクリーン新同品である。



 スクリーンは、外側のカウルと内側のインナーカウルの間に挟み込み、左写真のゴムブッシュを通してスクリュで留めるようになっている。が、なぜか私のマシンはゴムブッシュを通すスクリーンの穴位置とカウル側の穴位置が合わず、左写真の通り、取り外したゴムブッシュがクランク状に曲がってしまっている。
 原因は不明、非常に取り付けにくかったがそこはそれ、強引に付けてしまった。





(3)エアクリーナーボックス

 エアクリーナはK&Nに換装してあるので取り外して専用クリーナで洗浄、乾燥の後、これまた専用オイルを塗布して再使用である。K&Nにしてから2回目の車検を迎える訳だが、それまでは車検毎に純正新品へと交換していたので随分な倹約になっている。








 これはエアクリーナボックスとスロットルボディをつなぐスロート部分を締めるクランプのスクリュ。私はなぜかこのスクリュの頭をよくなめる(スロットルボディ清掃のために年間4、5回はこのスクリュを外すので)。右がつぶれたスクリュ、左が新品である。
 実はこのスクリュ、純正ではクランプASSYの付属品となっているので購入はクランプ単位。クランプは2個(2気筒で一つのクランプとしていある)必要なのだが、これがまた1個約700円と高いのだ。たかがスクリュ2個のために1400円も払うのは馬鹿らしいので、スクリュのサイズを調べて、クラッチレリーズのスクリュとともにネットで探したネジ屋で注文した。
 結局、カードのポイントを利用したりして、数本のスクリュをタダ同然の値段で購入することができた。



 エアクリーナボックスとラムエアダクトを結合する部分のクッション。さすが10年もの、スポンジがボロボロである。ここもついでに新品と交換した。









(4)クラッチレリーズ交換
 初期型ハヤブサの持病、クラッチレリーズがいかれてしまった
プッシュロッドを押すピストンが剥き出しになっているため、シリンダとの間に泥等がつまって傷が付き、結果としてフルードが漏れるのである。写真でも、ピストン下部が濡れているのが分かると思うが、それがフルードである。









 クラッチレリーズのピストンを取り外してシリンダの内部を見たのが右写真である。黒い輪になっているのは腐食。泥などのゴミで防錆効果のある表面処理が削られた結果、腐食したのだろう。触ってみてみてもザラザラしている。これではフルードも漏れるはずだ。




 クラッチレリーズの修理は、ASSYごと交換するより他に手は無い。ハヤブサのクラッチレリーズはパーツリストを見る限り原型となっている2000年型まで、ピストン径を小さくした(?)2002年型まで、フルード漏れの原因となる泥のつまりをゴムキャップという形で対策した2003年型以降の3種類が存在する。
 いずれも現在でも入手可能だが、2000年型のオリジナル部品を入れてもいずれ不具合が再発するだけなので、2003年型以降の対策部品を購入した。価格は約6300円である。
 左写真の左が旧部品、右が対策部品だが、車体側への取付は設計変更がなされていないので問題なく取り付けることができた。ちなみに、右部品についている黒いのが対策用のゴムキャップである。レリーズ取付用、及びスプロケットカバー取付用のスクリューは腐食していたので市販の相当品をネットショップで購入して取り付けた。














 左が旧部品、右が対策部品(ゴムキャップは外してある)である。シリンダの外径は同じだが、ピストン径(シリンダの内径)は旧部品の方が2〜3mm大きい。従って、旧部品ではシリンダのリップ部の平らなところの幅が狭いのだが、対策部品では内径が小さくなった分だけ広くなっている。そしてここへゴムキャップの縁がひっかかり固定されるのだが、
試しに旧部品へゴムキャップをかぶせて見たのが左写真である。旧部品は対策部品よりもシリンダのリップ部の幅が狭いとは云え、ゴムキャップの縁は問題なくひっかかり固定されているように見える。
 つまり、旧部品のクラッチレリーズへゴムキャップを取り付けてやれば、対策部品として十分に機能するのではないか? と思ったのである。
 ゴムキャップは単品での購入が可能であり、価格は600円程度である。対策品クラッチレリーズ一式が6000円以上することを考えると、試してみる価値はじゅうぶんあると思うのだが。



 この後、抜いたフルードを再度充填してエア抜きである。ブレーキのエア抜きとちょっとだけやり方が違っていて(と思う)、
  @ブリードバルブを緩めて
  Aクラッチレバーを握って(ブリードバルブから勢いよくフルードが噴き出すので注意。フルードは塗装を剥離する)
  Bブリードバルブを閉めて
  Cクラッチレバーを離す
4、5回繰り返すだけで簡単にエアが抜けた。どうしてブレーキ側はこう簡単に話が運ばないのだろう???

(5)オイル交換
 オイルは走行5000km、又は1年のどちらか早い方で交換と決めている(必ず守っているわけではないが)。加えて、フィルタはオイル交換2回に1回としている。ちなみに今回はオイルだけでフィルタの交換はしない。
 オイルの銘柄だが、今回は日産エンデュランス、車用の100%合成油である。前回まではカストロールのフォーミュラRS、これまた100%合成油の車用を使っていたのだが、こいつはなぜかギアの入るフィーリングが硬く(渋くはない)、私の好みではなかった。10W−50だったので硬いのはそのせいかとも思ったのだが、同じ10W−50でもエンデュランスは私好みの軟らかいシフトチェンジができる。たかがオイル、されどオイル、同じ規格でも銘柄が違うと違うもんだなと改めて実感した次第であり、次回からは値段も含めてリーズナブルなエンデュランスを使うことに決めた。
 ところでエンデュランス 4L缶の店頭価格は1諭吉以上(オートバックスで見てきた)なのだが、ヤフオクではなぜか4000円前後で流通している。フォーミュラRSもだいたいそんな感じであり、一体オイルの流通経路ってどうなっているんだろう?
 ちなみに「車用のオイルをバイクに使うのってどーよ?」的な質問は受付けません(笑)。今までのところ不具合らしき事象や兆候は起こっていない、とだけ言っておきます。もっとも、不具合が出るならもっと走った後かもしれないけどね。

(6)Fブレーキパッド交換
 車検直前(といっても9月末だが)にFブレーキパッドの残量が無いことが判明。それまでのパッドはいずれも10000km以上もったので油断していたのだが、今回のLOCKHEED  DLP286は8000kmしか持たなかったのだ。仕方がなないので泣く泣く(予算をとっていなかった)新品を購入。オーソドックスにRK ULTRA ALLOY 70とした。

(7)ブレーキフルード交換
 マニュアル上、フルードは2年毎(ということは車検毎)の交換となっている。クラッチのフルードは(4)で交換しているので残るは前後ブレーキである。Fブレーキのフルードは何度も交換したことがあるが、Rブレーキのフルード交換は実は初めてである。Rブレーキのリザーブタンクはリアカウルを外さないとアクセスできないのでめんどくさかったのだ。とはいえ大した作業ではないので、サクサク外してこれも交換。

(8)ケーブル注油
 スロットルケーブルの2本とチョークケーブルは注油して遊びの調整。このために1年前から秘密兵器、ケーブルインジジェクタを買っておいたのだ。


U 車検編
(1)準備
 10月の中旬、うまい具合に平日の休みが取れた。車検実施は11月末に目標を定めてあるのだが、とりあえず偵察である。岐阜運輸支局の場所の確認、車検書類の購入、そして光軸検査でアウトとなった場合に備えて、それを調整してくれるテスター屋の場所の確認である。

 運輸支局の場所は難なく発見。ただし、目標物に乏しい場所にあるので、その辺りに慣れない人にはちょっと難しいかも。ユーザー車検の方法については、受付窓口へ正直にその旨伝えると、懇切丁寧な説明とともに手順を書いた紙をくれた(お役所の書類らしく分かりにくいのはご愛嬌w)。

 車検書類は有料。運輸支局によって価格が違うようだが、岐阜の場合は次の書類一式で135円だった。ただし整備点検記録簿だけは任意様式のようで、わざわざ「購入しますか?」と聞かれた。自分で勝手につくっても良いらしいのだが、初めてのユーザー車検なのでとりあえず買ってみる。書類の縁に「様式7」と書いてあるが、正規提出書類ではないのか?
  @点検整備記録簿
  A自動車重量税納付書
  B継続検査申請書
  C自動車検査票
この他に、車検を受けるためには次の書類を準備する必要がある。
  D自動車検査証(いわゆる車検証)
  E自動車税納税証明書(払ってるよね?)
  F自賠責保険証明書(運輸支局で当日契約できる)

 岐阜のテスター屋の情報は少なく場所の確認に手間取ったが、運輸支局の近くに杉山テスターを見つけた。ちなみに、運輸支局の西隣にもテスター場があるが、そちらは業者専用で一般は相手にしてもらえないらしい。

 車検の予約はインターネットで。実働10日前から予約できる。電話でもできるのだが、ガイダンスに従ってやってみたところ非常に面倒なので途中で断念。ネットの方が数段簡単である。実施は1日4回、受付時間はそれぞれ8:45、10:15、13:00、14:15から30分間である。1日を有効に使うため、それから何かあった時の再整備の時間をとるため(当日中なら2回まで再検査が可能)に8:45でエントリーすることにした。


(2)前日
 実は車検予約日前日の朝まで長期出張で東京にいた。しかもハヤブサと共に、なので岐阜まで乗って帰らなくてはならない。幸い天候は晴れ、だが11月であるにも関らず12月中旬並みの寒さである。装備品は秋仕様のまま、朝7時に出発したのだが寒くて仕方が無い。とはいえ如何ともし難いので我慢あるのみ。甲州街道、中仙道経由の下道オンリーで日没後岐阜の自宅へ到着。途中で見た日本アルプスの山々は既に真っ白だった…

 自宅であらかじめ書類を作成しておこうと思ったが、点検整備記録簿以外は記入例がないと書けないので断念。肝心の整備点検記録簿はというと、ゲゲ、エンジンの弁すき間点検やらCO、HC濃度の測定って何これ!?こんなの自分でできないよ!!、と思いながらチェックマークを記入。果たしてこれで通るのか?

(3)実施

 受付は8:45からなのでそれに間に合うように行ったのだが、失敗だった。受付は確かに8:45からだが、開場(?)はもう少し早いようだ。8:45に到着して書類を書いているようでは遅い(順番が後になる)らしい。
 書類の他の持参品は簡単な工具(メガネ、スパナ)と念のためにオーナーズマニュアル。光軸の合わせ方はここに書いてあるのだ。





 本来(?)なら到着してから書類を購入するのだろうが、今回は購入済みなのでスルー。いきなり受付で書類の記入であるが、難しいものではない。記入例を見ながら意味も分からず書くだけである。
 書類の作成が済んだら(お役所の書類であるにも関らず、押印が全く必要ないところが驚きである)隣の自動車税務事務所(? とにかく違う建物になっている)で自賠責(24ヶ月13400円)、重量税5000円、検査手数料1700円の支払いである。

 支払いが済んだら受付へ。書類一式を渡したら不備の確認をしたくらいでNo5検査ラインへ行くように指示された。実はドキドキしながら点検整備記録簿を提出したのだが、あっさりパス。どうやら「点検整備記録簿」という表題の書類が提出されていればいいようで、内容は問われないないようだ。例の「様式7」はあくまでもサンプル、らしい。ただそれが、「適当な整備でよい」という訳ではないのは当然だが。

 指示されたNo5検査ラインへ移動する。書類を持っての移動、当然屋根など無いのでバイクのユーザー車検は雨の日は避けるべきである。でないと書類とともにずぶ濡れになってしまう。

 岐阜運輸支局のNo5検査ラインはバイクと大型車専用である。順番待ちで並んでいるうちに下回り、ウインカの点滅、ライトの点灯等を確認される。ライトは整備編で述べたように小細工をして行ったのだが、あっさり「じゃあライト点けて。あっ、ついてるか」と云われて拍子抜け。岐阜では常時点灯でなくてもいいらしい。

 そうこうしているうちに検査場内へ。手馴れた業者に混じってこちらはユーザー車検、しかもその日のバイクは自分だけ。先行する誰かの手順を見ることもできなかったので、全く勝手がわからない。そかもその上放置プレイにあってしまい、まごついてしまった。
 とはいえもじもじしていても始まらないので係員を呼んで方法を聞く。ボタンを押せだのフットブレーキを踏めだのよくわからないまま指示通りにハイハイと聞いて操作する。排ガスも騒音も測定されず(岐阜では。他の運輸支局ではまた違うらしい)、ブレーキ、速度計、光軸のみ(?)の検査だった。そして心配していた光軸も難なくパスし、総合判定ボックスで合格印をもらって再び窓口へ。書類を提出したら待つ間もなく新しい車検証とシールをくれた。到着からここまで1時間ちょっとの作業である。


 新しいシールは早速駐車場で貼った。思えば全ての手間は、ただこのシールを貰うためだけに存在したのである。






 

 
 

(4)まとめ
 実際に行ってみるまでは不安で一杯だったユーザー車検。終わってみると拍子抜けするくらい簡単だった。平日に休みの取れる人なら誰でもできるよ、と云いたい所だがその分、「自分のマシンは自分でキチンと面倒を見る」ことが必要だ。洗車やウインカの点滅すらチェックできないような人は止めておいた方が無難だろう。
 
 また、気になるお値段は下表の通り。今まで車検には整備費用も含めて70000円くらい払っていたので大変お安く仕上がりました。浮いた予算でヘルメットとライディングシューズを買うつもりです。(本当は予算外のクラッチレリーズやブレーキパッドを買っているのでそんなには余っていないんですけどね)
      

項目

金額

 自賠責

 13400円 

 重量税

 5000円

 検査手数料

 1700円

 書類一式

 135円

 合計

 20235円









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