険道16号探索記 

2008年4月19日


 岐阜愛知県境を通過する愛知県道16号多治見犬山線は、クレバス状の廃道区間を持つ険道として有名である。今回は、その魅惑的なVゾーンをまさぐって来たので報告する。

 先週は酷道418号へ行った。そして今週は険道16号である。もはや憶えたての猿の如く、KDXでの怒涛の怪進撃は止らないのである。ひょっとしたら、今年1年はこの調子かもしれない(その通りになった)。
 

 険道16号不通区間への分岐である。
 
 画面中央やや左に見えている看板が下の写真である。











        進路は勿論右、「この先進行できません」の方向である。





 
 不通区間は右、左は程無く道が無くなる。奥に小さく写っているのは通行不能の看板である。














 
 実は通行不能の看板の所で、道は180°ターンしている。そして2〜3m程行った所で今度は左へ90°ターン。そこから急坂になっていて、更に路面は岩。全くグリップしない。
 
 助走区間も取れないのでスタンディングからフルスロットルでクラッチミートするしかないのだが、何度トライしても登り切れずにエンスト。ブレーキをかけてもズルズル滑り落ちるだけである。




 坂の途中でスタックしたまま、押したり引いたりスッタモンダの挙句、30分ほどかけて何とか坂の上へ押し上げたのが上の写真である。写真では上手に勾配を伝えることができないのが残念であるが、KDXの吹き上げる濛々たる白煙からその厳しさを察して頂きたい。


 
 坂を登ってからのガレ様は写真の通りである。道なんだか、水無川の底なんだか、分かりゃしない。 

 慎重に進んで行くと、道端に「険道16号の守り神」と言われているフルフェイスヘルメットがwebでの写真そのままに転がっていた。
 入り込む事自体が困難な道なので、ここで誰かが事故死した訳ではなく、唯の不法投棄物品であろうが、気味が悪い事この上無い。従って写真も撮らなかった。
 
  
 更に進んで行くと、見事なV字が現れた。恐るるべきは自然の力、である。もう10年もすると、谷側の壁となってしまった部分が崩落し、道があった痕跡すらも無くなってしまうのではなかろうか。

 

 
 





これは冒頭と同じ写真である。このまま不用意に入っていってもステップやクランクケースがつっかえ、進退極まることが予想されたので、KDXはここで待機である。



 そこから更に進むとこの通り。最後は足幅にプラスアルファ程度となる。迂闊にKDXで入っていくと、本当につっかえてしまうところであった。










 しかも、その先では廃タイヤがダムを造っていた。助走も取れないような状態では、このダムは突破不可能である。唯一の方法は力づくでKDXを引き上げることだが、体力はさっきの急坂で使い果たしている。


 西側からはどうにもアプローチできそうにないので探索はここであきらめ、東側からの探索へと移動することにした。

 先程の一宮建設事務所の看板を左へ行くと、2、3軒の家が建っている場所へと出て来た。開拓地にしては家が立派なので、別荘地であろうか。それにしては生活しているような気配もあるので、この辺り一帯の山林所有者かもしれない。


 立派な邸宅ではあるが、この1軒だけは廃屋と思われる。
 険道不通区間の東側へ出るには、KDXの向こう側に見える小道を行く(その時は「行けるだろう」と思って突入しただけである)。







 
 すると、こんな所に出て来た。ダートであるのはKDXにとって嬉しい限りであるが、険道なのか自然歩道なのか判然としない。
 こういう道は遠慮がちにこっそりと抜けるに限る…、と思っていると、この後ジムニーと出くわした。全く、ジムニーという車は史上最強の4駆である。



 

 不通区間の東端に回り込んだところである。
 写真左に見えにくいが赤い車が写っているのが分かると思う。ここは中央自動車道路の脇である。








 
 不通区間を少しだけ行くと、再びVゾーンが始まっている。最早時間切れ(このあと用事があった)であるし、冒頭の坂道での格闘で体力、気力とも尽きている。不通区間の走破はここで諦めた。

 

 多治見側の出口はここである。

 再度の挑戦を誓い、今日の所は撤収とした。
 
 正直に言うと、ある程度以上の技量が無いと単独での走破は無理である。西側からのアプローチではスタンディングでフロントを持ち上げないとタイヤのダムを越えられないし、そもそも車体の下回りが挟まってスタックする。
 東側からのアプローチではタイヤダムは下りになるから良いようなものの、車体下回りが挟まるのは同様である。


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