毛無峠

2012年9月9日


 毛無峠へ行ってみることにした。と、唐突に言っても何のことだか分からないだろうが、長野と群馬の県境にあるこの峠は、ちょっとした歴史があるのだ(後述)。

 土曜日朝までの天気予報では、この土日は曇/雨。仕方が無いので昨日土曜日は午前中だけ、10式戦車を見に行っていたのだが、帰って来ると予報は一変、晴/曇へと変わっていた。そうならば善は急げで前々から行きたいリストに入っていた毛無峠へ行ってみることにした。但しちょっと距離があるので、土曜日出発の前橋で1泊、日曜帰宅の予定だったが、日帰り強行軍へ変更。さて、どうなることやら。

 日曜日朝6:00、世田谷の砧公園駐車場でいつぞやのMDK氏と待ち合わせ。実はMDK氏、1年前に普通二輪免許を取得、愛機はミカン色(限定車)のSUZUKI ST250である。結構かわいいw
 世田谷からは環八、R20(甲州街道)、調布ICから中央道で八王子へワープ。頭の中では「中央フリーウェイ(荒井由実)」がエンドレス(笑)。薄曇でしたが、ほぼ正面に見える富士山が綺麗だった。


 八王子ICからはR16、R407で北上。東松山市内でR254へ分岐する頃にはまだ午前中だというのに外気温が30℃越え、革ジャンの下は汗だくだ。
 それでもR254へ入ると車の量が激減、必然的に速度も上がり、快適になってきた。



 10:20、富岡市の富岡製糸場に到着。
 明治日本の富国強兵、その富国に貢献した国営製糸場(蚕の繭から糸を採る)跡だ。見学するつもりがないでもなかったが、人混みが激しい(しかも大嫌いな観光バス酔っ払いオヤジ、喧しいBBA多数)のと、到着するつもりだった時間にだいぶ遅れているのでパス。正門前で写真だけ撮ったらそそくさと出発。










 富岡からは容貌魁偉な妙義山を左手に見ながらR18へ合流。














 R18は当然(?)旧道を選択。横川にある鉄道文化村を横目で見ながら碓氷峠を上がっていく。
 元々、この旧道沿いには信越本線が走っていたのだが、1997年に長野新幹線が開通し、それに合わせて横川−軽井沢間が廃止されたのである。さきの鉄道文化村は、アプト式で有名だったこの区間の廃止を惜しんで建てられたもので、廃線跡を利用したハイキングコース(隧道もいっぱい)もあるので、そのうち歩いてみたいと思っている。
 写真は、有名なめがね橋。かつてはあの上を列車が走っていたのだ。人気が無いように見えるが、偶然撮れた奇跡の一枚。実は車も多いし、ハイカーも盛りだくさんの地点なのである。




 碓氷峠を上り切ると軽井沢。峠なので、上った後に下るのかと思いきや、そこそこしか下がらない。標高が上がった分、ひんやりとした気温が心地よい。
 軽井沢駅前の交差点でR18と別れ、進路は北へ。旧軽井沢のいかにも高級そうな別荘を横目で見ながら、妙にピカピカに保たれている旧三笠ホテル前を通過。味のある建物なら見学しようと思っていたが、あれほどピカピカに保たれていては趣がない。


 その後、白糸ハイランドウェイ、鬼押ハイウエーという有料道路を通って更に北へ。白糸ハイランドウェイの料金所は、茶色い、木造の、掘っ立て小屋みたいで笑えた。鬼押ハイウエーは、浅間山の鬼押し出し園の横を通るのだが、そういえば学生時代、ここと軽井沢へツーリングに来たことがあるのを思い出した。ただ、どのように来て、どこへ行って、どう泊まったのかはさっぱり記憶が無い。でも確かその時、鬼押し出しでバイクの博物館を見学したような・・・まだあるのか?(→調べたらありました、浅間記念館。あるなら載せろよ、ツーリングマップル!)

 さて、ハイウエーの終点、万座駅の辺りから万座温泉方面へは万座ハイウエーを走ろうと思ったのだが、当日は自転車競技(?)のため諸車通行止め。やむを得ず県道59号からR292へ出て、草津温泉経由で万座温泉へ。草津温泉の周辺はさすが観光地、湯釜やらロープウェイやら白根山やら、見所満載っぽい。時間があったらゆっくりと回ってみたいなぁ。

 万座温泉へはR292から県道499へ分岐、つづら折れの急坂を下った底に温泉がある。草津に比べて鄙びた感じだが、ここはここでよいかも。
 県道499は万座プリンスホテルの前から再び高度を取りはじめる。が、峠を越えたところで突然、毛無峠方面へ行く県道112の分岐が現れる。車1台分の幅しかない、標識も小さなものなのでうっかり行き過ぎるところだった。 もし行き過ぎてしまうと、本道の499も決して広い道ではないし、勾配もあるのでUターンができたかどうか怪しい。




 14:00、ついに毛無峠へ到達!標高1823m。
 この写真は来た方を振り返っている、簡易舗装されているのが県道112だ。中央の、5本見える鉄塔(実は左にもう1本倒れている)は、画面右手の群馬県側(左手は長野県側)にあった小串鉱山から、精錬物を長野県側へ運び出すための索道の跡である。そう、毛無峠は鉱山の跡であったのだ。








 峠から長野県側を見下ろす。中央に索道の鉄塔が1本、残残っている。


 

 

















 峠から群馬県側を見下ろす。中央の山肌剥き出しが小串鉱山の跡だ。かつては数千の人が住み、社宅、学校、娯楽施設まであったという。



















 視線を右(南)に転じると、山肌をつづら折れで下りてゆく細い狭いダート。この道を下ってゆくと、上の鉱山跡に達する。



















 長野・群馬の県境にはチェーン。このチェーンをくぐって、















 この道を降りてゆくと2枚前のつづら折れへと至るのだが、ハヤブサではとてもじゃないが下りてゆく勇気は無かった、というより、そもそもチェーンが邪魔で入れない。
 徒歩で鉱山跡まで行くことはできるが、そこまでは片道4kmあり、既に14:00であること、天候が不良(なぜか毛無峠にだけ山霧がかかっている)であることから、進出を断念。記念碑や、廃校跡やらが残っているらしいのだが。
 ちなみに鉱山跡から下、群馬側へは、地図上では徒歩道がついていることになっているが、とてもじゃないが厳しい道らしい






 MDK氏とのツーショット。
 草津のコンビニで買ったオニギリで遅い昼食をとった。天候は悪化傾向、霧に巻かれた状態で元来た細い山道を走るのはゴメンなので早々に退散とした。そのうち何とか機会をつくって、次回はKDXで鉱山跡まで下りてみたい。ただ、KDXだと航続距離が短いので、大丈夫かなぁ…









 毛無峠からは元来た道をR292まで戻り、少しだけ北上して県境の渋峠へ。ここは国道の最高地点、2172mである。FIだから何となく上って来たが、昔のNA、キャブ車ならきっと出力ガタ落ちで青息吐息だったろう。














 渋峠からはR292を草津方面へ戻り、R145沿いの丸岩という奇妙な山を横目で見ながら郷原で県道28へ入って榛名湖を目指す。

 県道28は、それはそれは良い道で、気持ちよく走ることができた。

 榛名湖到着は概ね17時、湖面の向こうに見えているのは榛名山である。









 榛名湖畔での、ハヤブサとSTのツーショット、本日最後の撮影である。
 この後、前橋ICから関越道で入間ICまで。入間からはR16と青梅街道で宿泊先の立川へ。到着は20時過ぎ。
 MDK氏と立川にある「餃子のニューヨーク」で夕飯して解散となった。MDK氏の自宅は横浜、帰宅しましたのメールが届いたのは23時過ぎだった。






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