キャリパ交換

2013年5月3日


 キャリパは鬼門。フルードでも漏れていない限り、触らないこと。


 (1)迷走の始まり

 ほんの出来心でフロントキャリパを割ってオーバーホールをしたのは既報の通り。だがとりあえず、左の動画を見ていただこう。
 レバーを途中まで引いたところで止めているのが分かると思うが、実は、この途中までのところが遊び(っぽい)なのだ。全くブレーキが効いていない訳ではないが、ストロークが実に大きい。実際に、十分に効き始めるのはその後からである。
 オーバーホール前は、少し握っただけでカツッと効き始めていたのだが、作業後はこのような状態になってしまった。



 実際には効くからよいようなものの、いかんせん気持ち悪い。何回もエア抜きをしてみたり(当然だがエアなぞ噛んでいない)、ピストンのモミダシをしてみたが、一向に解決されない(1回だけモミダシでタッチが一瞬だけ戻ったことがあったが…)。もう一度分解して再組み立ても億劫だし、タッチも戻る保障はない。仕方が無いので、思い切ってキャリパを交換することにした。


(2)キャリパ交換


 じゃーん、出来上がり。
 上段が旧、下段が新だ。
 ブレンボみたいでしょ(それが本音か!www)

 元と同じ黒では能がない(ブレンボに見えない、あはは)ので、ヤフオク品のZX−12Rを流用した。同じトキコの6ポットなので、互換性はあるみたいだ。













 エア抜きにちょいと苦労はしたが、元々の、握り始めのところからカチッとしたタッチが戻ったので大満足。
 あと、ラジアルマスターのブリードからちょっとだけフルードが滲んでいたので、水道工事用のシリコンテープを貼って復旧。










 そして更にエア抜きを徹底させるべく、ブレーキレバーをゴムバンドで固定して、引いたままで一晩放置したのだが…



(3)そしてまたもやオーバーホール
 レバーを引いて一晩放置した翌朝、出勤前に確認すると、何と右キャリパからフルード漏れ。なんてこったい…

 ZX-12Rキャリパの取り付け前に、分解こそしなかったが一通り清掃し(当然だな)、ピストンもブレーキピストンプライヤを使って最大限引き出し、メタルラバーをたっぷりと塗布して出したり入れたり。でも、左右とも内側のピストンはほぼ動かないまま終了。ブレーキピストンプライヤを使うにはとても握力が必要なので、掌が痛くなったのだ。

 キャリパを清掃している時、一部のピストンが、狭い範囲ではあるが錆びているのは分かっていた。が、交換部品があるわけじゃなし、大丈夫だろうと軽い気持ちで組んだ結果がこれである。タッチが出なくなるかもしれないから分解はしたくなかったのだが、フルードが漏れてはどうしようもない。

 フルード漏れとなればシール類の交換、そして錆びたピストンの交換が必要である。シールセットは確か片側3500円、ピストンセットはいくらだろう?安くはないわな、どうしようか。
 2、3日あれこれ考えたのだが、資金も無いことだしこの際、交換したハヤブサのオリジナル部品からシールとピストンを取り外して付け替えることにした。シールは原則再使用不可だが、自己責任でOKにしましょう。あとは、ZX-12Rの部品は本当にハヤブサと同じか?と言う点につきる。




 12Rのキャリパを分解。ピストンの先端が黒く腐食しているのがわかる。両方で12個のうち、半分くらいが腐食していた。














 ダストシールが入っていた溝。フルードが結晶化し、更に茶色へ変色している。これを、割り箸を使って、キャリパの中に落とさないように気を使いながら削り取っていく。












 左の灰色のものがハヤブサのピストン、右のピカピカとしたものが12Rのピストン。ハヤブサのはアルミ製で表面がアルマイト処理、12Rのものは鉄製でメッキ処理らしい。そういえば12Rピストンの方が重かったような…

 色が違ったのでちょっとドキッとしたのだが、シールともどもサイズは同じようで、問題なく組み付けることができた。

 





 というわけで、ハヤブサのシールとピストンを12Rに組み込んで、いちおうフルードの漏れは解消したのだが、タッチは元の木阿弥で冒頭の動画のようにストロークの大きいものとなってしまった。ただ、効きは変わらないので、その点は救いだが、どうしたものか…。


(4)再挑戦


 ブレーキの効き自体はスポイルされてはいない、あくまでもタッチが不満である。なのでこうなったらもうヤケクソ、もう1セット、ヤフオクでキャリパを調達して交換することにした。購入したのはまたもや12R用、金色のパーツ(実はZRX1200も同じパーツなのだが、年式が新しいせいか、12R用より高めである)。今度はブレーキレバーとマスター、それにホース付きである(いらないので捨てたが)。








 写真ではよく分からないが、このキャリパも前のと同様、ピストンに錆びが浮いている。この錆を嫌って、ハヤブサはピストンをアルミ&アルマイト加工にしたのだろうか。
 錆びたピストンを交換すると、またもやタッチが悪くなることが予想されたので、交換せず。大きな錆(爪に引っかかる程度のもの)だめ、目のごく細かい紙やすりで触れる程度の感覚でこすり、処理した。
 あとはラバーシールを吹いてモミダシなのだが、左キャリパの外側上部のピストンだけ、渋い動きが解消しなかった。




 で、結果なのだが、う〜ん、微妙。レバーをゴムで縛って一晩放置すると、カチッとしたタッチになるのだが、走っているうちに元の木阿弥、やわらかくなってしまう。ただしその程度も、前回のキャリパよりはマシ。

 結局、完全には解消しなかったが、効いてからは十分なので、もうこれにて打ち切りとした。次回、PAD交換の時に、ゆっくりと時間をかけてモミダシをしてみよう…。

 それにしても、ブレーキなんか触るものじゃないなぁ…。


(5)推定原因
 原因は、とにかくキャリパにある。ディスクが曲がっている可能性、その他の理由がる場合もあるのだろうが、O/H前は正常でO/H後におかしくなったのだから、キャリパ以外に原因は考えられない。(エア混入の可能性も除外)
 発生した現象は次の通り。
 @キャリパを分解、O/Hしたらブレーキタッチがフニャフニャになった(オリジナルキャリパ)
 A一度だけ、PAD交換の時にモミダシをしたら、一瞬タッチがもどった(すぐにまたフニャフニャ)
 BZXキャリパに交換したら、タッチがもどった。この時、ピストンの動きは非常に渋かった
 C上のキャリパがフルード漏れを起こしたので分解したらまたフニャフニャ
 DZXキャリパ(その2)に交換。交換前にモミダシをした。ブレーキレバーをゴムで縛って一晩置くとカチッとしたタッチになるが、使っているうちにややフニャフニャ

これらより、原因として推定されるのは、
 E分解再組立時にはキャリパボルトを交換しなければならない。なぜならボルトが伸びているから、ブレーキングの反力でキャリパが開く ⇒ ZXキャリパ(その2)は分解していないのにフニャフニャであることから、関係は無いと考えられる。
 Fピストンの動き ⇒ Bより、ピストンの動きが渋くてもカチッとしたタッチが出ていることから、あながちスムーズに動くことがよいとは限らない? Cの時、Bに比べるとかなりスムーズに動くようになったが、タッチは逆に悪くなった

 結論としては、原因はよく分からない。やはり巷間よく言われているように、6つのピストンが同時に出てくるようにメンテするのが基本かもしれないが、それてとてBのような反証はあるのである。ただし、動かないピストンはうごかないままで、他のピストンが同時に動いていたのかもしれないが…。

 とりあえず、次回PAD交換時にもう一度十分にモミダシをしてみることにする。


 あーあ、疲れた。

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