昆虫採集についての云い訳



 近年、(何故か)保護のためギフチョウの採集を禁じているところが増えているようだが、前述の通り、条件さえ揃えば普通に採集できるのである。

 ギフチョウが発生するのは春先、それも2週間程度の間である。勤人にとって休日(土日)は2回しか来ないのであり、その日が採集に適した日(つまりギフチョウが活発に飛翔する日)だとは限らない。しかもわざわざ発生場所へ出向くので無い限り、ギフチョウを見かけることが無いのは当たり前である。保護を叫ぶ御仁はそれをちゃんと理解しているのか?ギフチョウが「いない」のではなく、「見に行っていない」のではないか?その辺をいつも飛んでいるアゲハ(これは年に数回発生を繰り返す)とは生態が異なることを、わかっているのか?
 そればかりではない。私なぞは5月の中旬に某所で網を振っていたところ、「ギフチョウを採ってはいけない」と叱られたことがある。そこは確かにギフチョウが発生してもおかしくないよう場所だったが、そんな時期にギフはいないのである。お題目だけが先行して、理解が伴っていない証左のような出来事である。

 昆虫のように繁殖力の強い生物は、ほとんどの場合、網で採集するようなレベルでは数が減るものではない。もし生息数が減少しているのが事実であるとするならば、それは環境の変化(生息地の開発、など)が主要因である。

 かつて、長野県の白馬にイエローバンドという特徴的な模様を持つギフチョウが存在した。白馬村ではそれを保護し、採集を禁止した。が、ついにイエローバンドは絶滅したのである。それはなぜか?
 イエローバンドを保護し、採集を禁止した白馬村自身がその発生場所を根こそぎ開発したからである。本気で保護する気持ちなぞなかったのである。その場所とは、長野オリンピックのスキージャンプ台である。虫よりも開発に目がくらんだわけで、それはそれで当然だろう。だがしかし、ならば最初から保護なぞ言い張るな。


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