米海軍パタクセントリバー博物館


2002年10月4日
 


  米国出張のついでに、メリーランド州にあるパタクセントリバー米海軍航空基地の博物館へ行ってみた(実はワシントンDCのスミソニアン博物館へも行ったのだが、写真は残していない。惜しいことをしたものである)。懐かしい機体、初めて見る機体、珍しいもの、そうでないものがごちゃ混ぜであるが、私としては唯一の外外出張の記録なのである。

 米国メリーランド州のパタクセントリバー(通称 Pax Riv)には米海軍の航空基地がある。ここの航空基地は実戦部隊の基地ではなく、実験部隊(NAVAL AIR TEST CENTER)の航空基地である。海上自衛隊で云うと、厚木の第51航空隊をもっと大規模にしたものと思えばよい(と一応云っておくが、実はそれからは類推できない程の大規模である。空自の飛実団すら、比較にならない)。

 出張のついでに寄ったのであるが、能書きはこれくらいにして、珍しいものとそうでないものがごちゃ混ぜになった展示の一部を紹介しておく。

 展示は屋外と屋内があり、まず屋外からである。屋内展示は写真の左の方に平屋がありその中である。














 ダグラスA−4スカイホーク、エド・ハイネマンの傑作である。
 背部にコブがあるので、E型以降と思われるが定かではない(それほどまでには詳しくない)。

 好きな機体の一つである。








 ダグラスF4Dスカイレイ。初見の機体である。朝鮮戦争からベトナム戦争にかけての機体なので、リアルタイムでは全く記憶にも残っていない。

 ちなみに、機側に立つのは私ではない。








 グラマンF9Fクーガー。これまた初見の機体。F4D同様に古い機体なので記憶に残ってはいない。











 マクダネルダグラスF−4ファントム。これはJ型である。
 米空軍のEみたいにバルカンは搭載していない。
 空自でもEJが使われているし、漫画でも有名なので知っている人も多いと思う。
 5000機余り作られたはずだが、以降、生産機数が1000機を越えるジェット軍用機は存在しない(と思う。ロシアはよくわからない)。時期に恵まれた事もあろうが、性能が覚束なければ生産はされない。その点だけでも傑作機の評価を受けるに十分だと思う。





 グラマンF−14トムキャット。
 説明を要しまい。当時の米海軍の主力戦闘機である。ベトナム戦争からつい先頃まで一線にあった。

 展示機に近寄ってみると思いの他、外板の凸凹が激しい。よくもまぁこんな状態で超音速が出せるもんだと感心したが、屋外展示中に痛んでしまっただけかもしれない。






 AV−8ハリアー。元は英国で開発された機体であるが、米海兵隊でも使用されている。
 実機は岩国基地と岐阜基地で見たことがある。










 マクダネルダグラスF−18ホーネット。現在ではE/F型にまで発展した米海軍の主力機。
 この機体は各部の状況からA型(又はYF−18?)と思われる。








 右写真は右ストレーキ上にある境界層制御板(正式名称忘れた)。後方(写真で左)の根本が外表面から浮いているのが分かると思う。実際にはシールか何かで埋めるのであろうが、雑な作りである。


 

 垂直尾翼の根本には補強のL材が見えない。
 F−18は試験中に垂直尾翼の強度不足が発見され、付根部分に分厚い(1/2インチくらい)L型のアングル材を付けて補強しているのであるが、この機体にはそれがない。経緯は不明であるが、初期の期待であることは間違い無いと思う。






 グラマンA−6イントルーダー。好きな機体の一つ。
 学生時代、クーンツの書いたデビル500応答せずを読んで、すっかり参ってしまった。その主人公(?)がイントルーダーである。以来、クーンツの作品は全て読んでいるし、攻撃/爆撃/偵察機等(要は戦闘機以外)に深い興味を持つきっかけとなった。
 サイドバイサイドという、大型機のような搭乗員配置がまた良いのである。






 LTV A−7コルセア。
 F−8をベースに攻撃機として設計された機体。
 F−4(&F−8)、A−6、A−4、そしてこのA−7は私の記憶によく残っている。









 これは機種不明(笑)。T−何とか、だったと思う。
 飛行機マニアを自称してはいるが、初期(?)のジェットは私の盲点、意外と弱いのである。
 種々のテストベットとして使用された機体のようで、例えば機首のラインが不連続なのは、中に試験用のレーダーアンテナが入っていたからと想像される。







 また、胴体下には奇妙なレドーム…。
 このレドームは飛行中にだけ下りるギミックのようだ(そうしないと離着陸で腹を擦る)。レドーム側面にはボルジェネが付いているが、これはロッキードがよくやる手法。と、ここまで書いて思い出した。この機体、ロッキードのジェットスターというビジネス機ではなかっただろうか?



 これは静圧孔(どの系統かは不明)の後方に付いている圧力調整板。
 機体外板に直接開けた静圧孔で計測される圧力は、局所流の影響を受け、必ずしも大気圧(または必要な気圧)を示すとは限らない。
 そこで、こうやって静圧孔の回りに土手を設けて、静圧孔位置での圧力を調整するのである。





 
 右写真はそれのもうちょっと凝ったもの。
 ちなみにこの手法は、米国ではグラマンが、日本では川崎が得意であり、空自のE−2Cにも付いているし、技本で使われているBK−117、海自のEP−3、UP−3D、OP−3Cにも付いている。
 この写真を撮った当時、この辺に妙に興味があったので記録として残っているのだ(笑)。




 続いて屋内展示のX−47A。無人艦載機の実験用の機体だが、これがただの模型なのか、実物なのかは忘れた。ただ、X−47自体は無人での空母着艦試験に成功したそうである。
 














 実用化されることの無かったP−7(ひょっとしたらオライオン2000)のカッタウェイモデル。
 詳しい話はもう忘れてしまったが、ミッションアビオの近代化が主眼だったと思う。プロペラは変わっていないので、エンジンはたぶんそのままT−56なのだろう。







 胴体カッタウェイのアップ、写真右が機首方向である。左舷前方にTACCO、その右舷にNAV/COMM。そしてその後方にSS−3、といった配置は変わっていない。



 
 こちらは胴体中央部のカッタウェイ。写真右が機首方向である。左舷側、横並びにSS−1/2が見えている。









 チャンスボートF8U−3クルーセイダーVの模型。F−8の派生型で、エンジン換装などによりマッハ2以上出したと思う。制式採用には至らなかったが。

 ちなみに、腕組みしているのは同行のN氏。私ではない。








 XF−35のカッタウェイモデル。本格的な設計以前に製作された模型と思われるので、中味が正しいかどうかは不明。











 自分で云うのも何だが、この写真はなかり珍しいと思う。
 グラマンF7Fタイガーキャットの風洞試験模型である。スケールは1/10くらいだろうか。

 







 これは機種不明。何度も書くが、初期のジェット機には弱いのである。飛行艇かその類の風洞試験模型なのだが、機種名称を全く忘れてしまった。模型はV型尾翼だが、右主翼後方には通常型(T型)配置の尾翼も見えている。
 読者諸賢の情報を請う。


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