尾瀬
2011年6月12日
 

 夏がくれば思い出す、はるかな尾瀬、遠い空

 夏が来たので思い出した、訳ではない。このところずっと東京にいながら、小学校唱歌にも歌われた尾瀬が意外と近のに気付いたのは去年のことである。ただし既に季節は過ぎていて、夏が来る頃の「ミズバショウの花」は咲いていない時期であった。
 尾瀬にゆくなら何はさておきまずはミズバショウを観てみたい。ならば、と1年近く待って、ようやく季節と機会が巡ってきたのだ。実のところ、一昨年からのこの東京長期出張、予定では今年度で終りなので、今年を逃すとミズバショウとの逢瀬は随分と先になるところだったのである。

 尾瀬へは土曜日の夜、23時に新宿駅前からバスで出発。日曜日の早朝に尾瀬(鳩待峠)に到着、その後は自由行動で尾瀬を散策した後、14:30に鳩待峠を出発、新宿へ戻るツアーである。これで代金5500円は正直言って安い。
 この日を選んだのはミズバショウの最盛期であるからなのだが、当然ながら梅雨も最盛期である。ツアーを予約した2週間前には当日の好天を祈るばかりだったのだが、天気予報ではずっと変わらず雨。それでもどうした訳か前日16:00の予報で、それまでかなり高い降水確率を示していたのが突然と晴に。はやり普段の行いが良いと違うものである。


 バスは意外と小さい。道中の峠道が狭く急なため、フルサイズの観光バスでは、とてもじゃないがつっかえてしまうと気付いたのは後のことである。
 座席は右側最前列窓側(が指定された)。すぐ前が運転席なので、全く足を伸ばすことができず苦痛だった。二列目以降だと、前座席の下に足を入れて何となく伸ばすことができるのだが。おかげで尾瀬までの5時間半、寝たのやら寝てないのやら。


 新宿を出たバスは途中何度かの休憩を繰り返し、4:30頃に尾瀬高原ホテルの駐車場へ到着。尾瀬鳩待峠の駐車場へ向かう県道は、5:00にならないとゲートが開かないのでしばしここで時間調整。あらかじめ昼食の弁当を注文していた人にはホテル謹製のそれが配られるが、私は無し。代わりに立川の弁当屋の大きいオニギリである。

 それにしても駐車場の朝焼けが素晴らしい。念願の梅雨の晴れ間、いい天気になりそうだ。






 鳩待峠駐車場には5時半前に到着。広い駐車場ではなく、乗り降りするだけだ。
 ここの標高は1591m、奥多摩だと0.1m単位で標高を示しているのだが、そっちの方がおかしい(笑)。駐車場のすみには除雪された雪が積もっていた(左下写真)。外気温度は10℃、半袖ではいられないのでウィンドブレーカーを羽織る。
 右下写真が尾瀬への入り口。緑色のマットが見えるが、尾瀬の植生保護のため、ここで靴底の泥(と共に付着している外来植物の種子)を落としてから登山道へ入ることになっている。ところで、尾瀬と一口に言ってはいるが、今日行こうとしているのは尾瀬ヶ原という湿原である。また、普通「尾瀬」と言って思い浮かべるのもここだ。

 下の図が新兵器、GPSデータロガーで記録した歩行記録である。左下がスタート&ゴールである鳩待峠、湿原内を時計回りに一周している。走行距離約23km、所要時間7時間半(休憩含む)。


 

 左が横断幕のある入り口から入ってすぐのところ。尾瀬ヶ原へは鳩待峠からずっと下っていく。最初は石畳の階段だが、すぐに右写真のような木道となる。尾瀬ヶ原では山小屋のある広場や登山道の斜面を除いて全て木道を歩くことになる。




 梅雨の晴間、快晴である。
(尤も、早朝だけであったが)















 0610、尾瀬の西端、山の鼻に到着。山小屋とキャンプのできるスペースがある。標高は1400mなので、1時間足らずのうちに200mほど下ったことになる。










山の鼻で朝露に濡れて光る草を見つけた。



振り返った小仏山には残雪があった。足元の白い花が、憧れのミズバショウ!

 

意外と大きい。大小あるが、大きいのは花弁(?)の高さが20cmくらいある。
それにしてもやっと会えた。



東を望むと煤ヶ岳。今いるのは群馬県だが、あそこは福島県だ。
沼地の中を木道が通っている。ここを外れて歩くことは許されない。最も、沼地なので物理的に不可能に近いのだが。



0645に牛首分岐を通過後、左へ回って東電小屋へ向かう途中からみた煤ヶ岳。
沼地の真ん中に立つ木がエルフみたいだ(分かるかな?)
しんとした中で、カッコーと蛙の鳴き声だけが響いている。



木道の所々にこうやって鐘がぶら下がっている。熊よけだそうだ。



0720、ヨッピ吊橋到達。吊橋なのでもう少し情緒のあるものを期待していたが、ハズレ(笑)
鉄柱の組み合わせだった。ちなみに施工は東京電力。




0740、東電小屋が見えてきた。
電力会社は架線設備保守のため、深山に非難小屋を設置することがよくあるが、ここは立派だ。
ちなみに、ヨッピ橋からここまでの間で県境を越え、群馬から新潟に入っている。




只見川を越えた(向こう側が東電小屋)。これで新潟から今度は福島へ。
昔々その昔、奥只見ダムへ行ったことがあるが、その源流がここかと思うと感慨深い。



赤田代分岐を経て0830見晴到達、数軒の山小屋が軒を連ねている。
煤ヶ岳へのベースにもなっているようだ。




山小屋の横で咲いていた花。桜だったか。

さて、見晴からは西へ折り返し、再び山の鼻へ向かう。


あの橋(沼尻川)を超えると再び群馬県。




0915、竜宮小屋到着。





この季節、竜宮小屋から山の鼻へ至るルートが、最も花が多い。
白いのが、ミズバショウ。












小仏山とミズバショウ。ポスターでよく使っているアングルの場所と思われる。




歩荷(ぼっか)とすれ違った。凄まじいばかりの荷物を担いでいる。
重量は如何ばかりだろうか。両手を胸の前で交差させ、反対側の肩紐を掴んで前かがみにあえぎながら歩いていく。





1115、山の鼻へ戻ってきた。
見事に咲いているのは、桜。



0520に駐車場をスタートしてから6時間、ほぼ歩きづめだったがここでようやく大休止。
昨夜(!)、弁当屋で買っておいたオニギリをほおばる。美味い。


1200まで休憩してから、集合場所である鳩待峠への坂を登り始める。



1250、再び鳩待峠へ戻って来た。



この後、道の駅白沢で温泉に入り、どこかの土産物屋に連れて行かれた。
(ツアーなので仕方がない。が、当然何も買わない)。
新宿帰着は22:00頃だったか、行きに目をつけていた立ち食い寿司屋でビール付きセット980円で夕食。
値段のわりにはまぁまぁだった。


帰宅は23時近くなったが、さして疲れも残らず(いつもの山行きに比べると格段に楽)、充実した一日だった。
季節を変えて、また行きたいなぁ…。

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