サイドベアリングシール交換記
2010年5月3日
走行距離38852km
カバーを外すだけとはいえ、実はエンジンを開けるのは初めてである。2ストなので大したことなかろうとたかをくくっていたのだが、なかなかどうして油断は禁物なのである(笑)
走行中にギヤオイル(エンジンオイルではない)が減る。規定量入れても、1000km程も走らないうちにLOWレベルを下回ってしまう。KDX購入当初からの持病なのだが、特にガスケット回りから漏れたり滲んだりしている気配は無い。ネットで色々と調べてみると、どうやらサイドベアリングのシールが劣化するとそこからクランクケースの中へギヤオイルが回るらしい。更に調べるとさして難しい作業ではないようなので、自分で交換してみることにした。
エンジンを開けるのだから、オイルと共に冷却液も抜く必要がある。そのためにリザーブタンクを外しにかかると、何と2ヶ所ある取付部のうち、上側が破断していた(赤い→の先)。ん〜、完全に経年劣化だな、こりゃ。とりあえず復旧時にはタイラップで吊っておいた。
ちなみに部品を調達すべくヤフオクを覗いたが、多くは同じように上側の取付部が破断していた。どうやらKDXの持病らしい。
結果として、難易度の高い作業ではなかったが、慣れていないと非常に面倒な作業ではある。サイドベアリングまで到達するにはマフラー、ポンプカバー、(冷却ポンプの)インペラ、クラッチケーブル、キック、ブレーキペダル、KIPSオペレーティングシャフトのレバーを外してからライトエンジンカバーを外す必要がある。
ポンプカバーを外したところ。インペラ(羽根)を抜かないとライトエンジンカバーが外れない。インペラは真ん中のナットを外すと取れるのだが、その軸はエンジンで駆動されてる。
なのでナットを回しても回しても同時にクランクが回るばかりで一向に外れない。これは一体どうしたものかと思ったのだが、あー、オイラの馬鹿馬鹿。ギヤをニュートラル以外に入れておけばいいんじゃん。これで軸も共回りせず、無事に外すことができた。
何とかライトエンジンケースが外れたところ。丁寧に(チンタラともいう)やっていたら、ここまでバラすのに3時間ちかくかかってしまった。目的のサイドベアリングシールはクラッチ右に見えているギヤの後ろにある。この二つはラップしているので、まずはクラッチを外す必要がある。だがその前に。
クラッチを外してもギヤが外れないと何のこっちゃ、なので試しにギヤを留めているナットを回してみる。これはやや固かったが何とか外れた。ちなみにサイズはΦ17である。
さて、お次はクラッチ。これまた中心のナットを回すのだが、固い、とても固い。ギヤは入れているのだが、それをものともせずナットとクランクが共回り、タイヤが回る(押しがけの逆)。後輪にチョークを入れても効果なく、タイヤはその場で空転するばかり。
ラチが開かないので、ストレート岐阜店へ工具を買いに行く。本当はこんな形の特殊工具でクラッチの回転を抑えるのだが、買ってきたのはこんな形の工具。「クラッチの回転を止める」という能書きにだまされた(自分が悪い)のだ…orz。
無理にナットを回そうとしてスッタモンダの挙句、ラチェットのエクステンションバーをねじ切るというオマケ!まで付けたがそれでもナットは回らない、いや、タイヤとともに回るのみである。
時間は既に午後4時近く、急がないと復旧前に日没になってしまう。ガレージではなく家の前の路上で整備をしている私にとって、日没は絶対に避けなければならない。が、気はあせるのだがどうにもならない。
そこへ現れたのが工具持ちの隣人。早速インパクトドライバを借りてトライ。最初は空回りしたが、2、3度目についに回った!やはり持つべきものは工具隣人である。(その上、ねじ切ったエクステンションバーも余りがあるからといってくれた。オマケにユニバーサルジョイントのエクステンションまでくれたのである。感謝)
しかし、インパクトはやはり凄い。だが、高い(苦笑)。電動は高いので、せめてドライバで叩くタイプを買っておくか。
全て部品が外れたところ。真ん中の黒い輪が新品のサイドベアリングのオイルシールだ。硬質のプラスチックのような素材。これがその後ろに見えている円形の溝にはまるのだ。当然だが外寸に余裕がないので、ハンマで叩きながら少しづつ入れた。
古いシールはドライバでこじって外したのだが、内側と外側が千切れかかっていた。これじゃあオイルも漏れるわなぁ。
この後、大急ぎで復旧。傍らで錆を落とし再塗装しておいたマフラがうまく取り付かず、ガスケットを変な形に噛み込ませてしまいダメにした。が、幸いにもガスケットはKITACOの2個セットを購入していたので、予備に持っておくつもりだった残りの1個を早速使用、事なきを得た。
ちなみにKDXはエキゾーストが下を向いているので、取り付けの最中にガスケットが落ちてしまう。これを防ぐために、ガスケットに少量のグリス(今回はシリコンを使ったが、モリブデンが良いと思う)を塗り、エンジン側へ貼り付けておいた方が良い。
復旧、工具の片付け、撤収が終わったのが午後7時近く。暗くなり始める直前であった。暗くなっても復旧が終わっていないという最悪の事態は何とか免れた。でもあーあ、疲れたなぁ…。
そして翌日、会社のKDX氏とともに御母衣ダムへ行った(別途レポートする)のだが、私のKDX名物、濛々たる白煙がピタッと止んでいた。どうやら白煙は、エンジンオイルの質が悪かった(安物を入れてある)り、吐出量が多かったりといった理由ではなく、ただギヤオイルが燃えていた(本来燃えるものではないので不完全燃焼)ためらしい。あーあ。
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